概要
開発環境・インターフェース
SVL(Scientific Vector Language)
SVLは、CCG社が開発した科学計算のためのプログラミング言語です。MOEに搭載されている豊富なアプリケーション群はSVLを使って開発され、ソースコードの内容を閲覧することができます。MOEの基本機能には、SVLのエディタ、コンパイラ、実行環境、サンプルコードといったSVLの開発環境が全て含まれており、各種アプリケーションのカスタマイズや標準機能を応用した新機能の追加を行うことができます。
ベクトル言語: | データをベクトルとして扱うことで、大量のデータ処理が必要な計算化学のアルゴリズムにおいて、複雑なループ処理や分岐処理から開放されたソースコードを作成できます。 |
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豊富な関数ライブラリー: | ベクトル・行列演算、分子操作、エネルギー極小化計算、並列計算など分子シミュレーションに必要な関数の他に、構造構築、表面表示、GUI設計、グラフィックス・プロットの作成、SOAP、SQLなど様々な組み込み関数が用意されています。これらを活用して独自のアプリケーションを簡単に開発できます。 |
SVLに搭載されたベクトル言語と高度な関数ライブラリーにより、簡潔なソースコードが実現され、コーディングだけでなくバグの発見や解決も素早く行うことができます。
MOEからサードパーティーソフトウェアを実行するためのインターフェースも簡単に作成できます。
MOEサポートページでは、実際に弊社で開発したSVLプログラムを公開しています。また、CCG社のMOEユーザー向けフォーラムでは、世界中のMOEユーザーが作成したSVLプログラムを入手できます。
MOEカスタムアプリケーションのカタログ
MOE/batch
MOE/batchはコマンドラインでMOEを使用するモードです。SVL関数をコマンドとして入力したり、あらかじめ作成したMOE/batch用スクリプトを実行するなどしてMOEでの計算を行うことができます。ドッキングシミュレーションや分子動力学計算などの時間のかかる計算について、系の準備は通常のグラフィックモードで行い、計算は専用マシン上のMOE/batchで実行するなど、ライセンスや計算リソースを有効に活用できます。
MOE/web
MOE/webはMOEのアプリケーションをウェブブラウザーから利用できるモードです。MOE/webはジョブ管理や履歴機能を搭載したウェブサービスを内蔵しているため、他のサービスを利用することなく容易に設置できます。SVLを用いて新しいMOE/webアプリケーションを追加することも可能で、直接MOEを使用しない実験研究者などが気軽に使える計算化学環境を作ることができます。
- MOE/web アプリケーション例
- ■ MOEsaic (SAR/MMP解析)
- ■ Structure-Activity Report
- ■ R-Group解析(R-Group分解、R-Groupプロファイル)
- ■ 分子の物性推算
- ■ 分子スケッチャー
- ■ アミノ酸配列のホモロジー検索
- ■ 抗体モデリング
- ■ MOE-QFSS(カスタムアプリケーション)
MOE/web: MOEsaicによるInteresting MMP解析
MOE/web: MOE-QFSSによる部分構造検索
MOE/web SOAP
MOEの一部のアプリケーションをMOE/webサーバー上で行うためのモードです。ファーマコフォア検索やFBDD用の検索対象データベースや、MOE Projectデータベースなどの比較的容量の大きい分子データベースをローカルに配置せずMOE/webサーバー上に配置しネットワークを介して検索・参照できます。計算コストやファイル容量において、ローカルマシンの負荷を削減することできます。
たとえば、Microsoft ExcelのWEBSERVICE関数を使ってMOE/webサーバーにアクセスしてSOAPによる計算が可能です。
エクセルのWEBSERVICE関数を使った計算例。分子名と分子記述子を入力とし、SMILESと分子記述子の計算結果を出力できます。
MOE Extensions for KNIME
CCG社から提供されている拡張ノードセット「MOE Extensions for KNIME」を利用することで、MOEを使って行う処理をKNIMEのワークフローに組み込んで実行することが可能です。さらにMOEを用いたノードを、SVLを用いて簡単に作成することができます。MOEノードとKNIMEに搭載された別ノードを組わせて柔軟なワークフローを構築できます。
ホモロジーモデリングのワークフロー例。ドッキング、ファーマコフォア検索、FBDD、QSAR、Protein DesignなどMOEの一連の処理を、KNIME上でワークフローとして定義し利用できます。
MOE-Extensions for KNIME (MOE KNIME I/F) (PDF)
MOE/smp
MOE/smpは別プロセスでの分散処理を行うモードです。同一マシン上の別CPUやコア、sshプロトコルを経由したLAN内の別ノードを利用した分散処理が可能です。ドッキング計算やホモロジーモデリング、化合物ライブラリーの配座解析など対応したアプリケーションを高速に処理することができます。
使用目的に応じた様々なインターフェイス
MOEはデスクトップPCやノートPCによる通常利用のほかに社内システムへの組み込みも可能です。OSは、Windows、Mac、Linuxに対応しています。
ステレオ表示
MOEのグラフィックモードは以下の立体視環境をサポートしており、これらを使用することで容易に分子構造を立体的に観察することができます。
MOEはバーチャルリアリティ(VR)ディスプレイのzSpaceにも対応しています。専用のディスプレイとメガネには利用者の頭の位置を追跡する機能があるため、目の前にあたかも存在するかのように表示された原子や分子表面などのグラフィックスを見回すことができます。専用のスタイラスペンを用いて分子の操作を行うことができます。
- PSILO
- タンパク質立体構造情報データベースシステム
- Daylight
- 情報化学システム構築ツール
- Chemotargets CLARITY
- ターゲット・作用機序予測プラットフォーム