概要
分子高速アラインメントツール FlexS
FlexS1)は、既知のリガンド構造に対してリガンド候補構造を重ね合わせ、
重なりうる配座と配向を予測します。FlexSでは参照リガンド配座を固定させて、類似リガンドにおいて同様の相互作用状態を持つ配座を予測します。
FlexSの重ね合わせは簡単な設定で実行可能です。
FlexSの主要な機能は、リガンド重ね合わせ(たとえばCoMFA/QSAR解析の前処理に利用できる)とバーチャルスクリーニングです。
FlexS はドッキングシミュレーションを行う代わりに、参照リガンド構造と低分子化合物をシェイプベースで重ね合わせすることによって、
参照構造との類似度を推定し、リガンドスクリーニングを行うことができます。
FlexSは、既知のリガンドとリガンド候補化合物間の重ね合わせの結果をもとに類似度のランク付けを行うことにより、実験する化合物の優先度を決めるのに役立てることができます。
1) Lemmen, C. et al. FLEXS: A Method for Fast Flexible Ligand Superposition. J. Med. Chem. 1998, 41, 4502-4520
特徴
・ | 高速な計算時間:リガンド分子対重ね合わせを平均2分/1アラインメント。早いものは数秒で行います。 |
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・ | 分子のフレキシビリティの評価は環状構造の有無と合わせ、ねじれ角の評価を行います。参照リガンドは剛体として評価します。 |
・ | FlexSでの配置は、ファーマコフォアの投影点の一致(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用)とvdW体積のオーバーラップに基づいてスコア化し、それを評価することによって行います。 |
アルゴリズム
1 | 化合物からベースフラグメントを抽出 |
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2 | 体積や化学的特徴でベースフラグメントを高速に重ね合わせ |
3 | 残ったフラグメントを順次再結合し評価 |
FlexSの用途
・ | 3次元の分子の重ね合わせに |
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・ | 3D-QSAR解析のための分子構造の前処理として |
・ | 共通母核構造・分子のミミック体の探索に |
・ | リガンドベースのバーチャルスクリーニングの実行に |