アプリケーション
結合自由エネルギー推算ツール
Hyde1)は、新しい定義のドッキングスコアで、化合物‐受容体間の結合自由エネルギーの評価や、化合物のドッキング結果に対してする再スコアリングツールとして利用できます。原子ごとのエネルギー寄与の大きさでグラフィカルに結果を表示することで、保存すべき原子団や修正すべき原子団の発見にもつながります。エネルギー寄与の表示と分子編集機能を組み合わせて利用することで、結合部位内での化合物構造の最適化が可能です。
結合エネルギー(Hydeスコア)は各原子における化合物-受容体間の脱水和エネルギーと水素結合エネルギーの合算値として評価されます。Hydeの機能は対話型SBDDツール「SeeSAR」に統合されています。SeeSARを用いて各原子におけるエネルギー寄与の大きさを色分けして表示します(赤: ΔGの寄与はプラス、緑: ΔGの寄与はマイナス)。ユーザーは分子編集機能を利用して、寄与の小さいもしくはプラスに寄与している原子団を修正することで、より親和力が強くなるように対話的な分子設計が可能です。
1) Reulecke, I. et al. Towards an Integrated Description of Hydrogen Bonding and Dehydration: Decreasing False Positives in Virtual Screening with the HYDE Scoring Function.
ChemMedChem, 2008,3, 885-897.
リガンドの一部を改変することで、受容体との親和性が向上する例です。右の化合物の一部の原子を改変し左の化合物に変更することで実験値(ΔGexp)・Hydeスコア値(ΔGHyde)ともに向上します。
SeeSAR
Hydeの機能は統合SBDDツール「SeeSAR」に統合されています。ユーザーはSeeSARを用いて、ドッキングシミュレーション、フラグメント交換、結合自由エネルギー推算などを簡単な操作で実行することができます。