リリースノート
Gaussian 03の新機能
Gaussian 98からのバージョンアップにより、Gaussian 03では様々な新機能が追加されました。以下に主な新機能を紹介します。
分子構造構築
- ONIOMの改良
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- 分子力学法の電荷を考慮した量子化学計算
- 極小化計算が高速になり巨大分子(タンパク質など)に応用可能に
- 解析的基準振動解析を追加
- 一般的な分子力場をサポート(力場による極小化計算はスタンドアロンでの計算も可)
- 溶媒和モデル
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- PCM溶媒和モデルの改良
- IEFPCMモデルがデフォルトに
- SCRF法での解析的基準振動解析
- 新しいキャビティ生成法によるパフォーマンスの改良
- KlamtらのCOSMO-RS法の入力ファイル作成
- 周期境界条件のサポート
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- 1〜3次元で周期性を考慮した計算が可能
- HFとDFTでエネルギーと一次微分が計算可能
- 分子動力学(量子MD計算)
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- BOMD(Born-Oppenheimer Molecular Dynamics)による量子MD計算
- ADMP(Atom-Centered Density Matrix Propergatrion)法による量子MD計算
- ADMP法はONIOM法のMO法部分に使用可能
- 励起状態
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- 完全CI計算中でCIベクトルの計算に新しいアルゴリズムを採用。より効率的なCASSCF計算を実現
- 分子軌道を5つに分割するRASSCF法を追加
- CASおよびRAS法のアクティブスペースをNBO軌道で定義可能
- SAC-CI法を追加
分子物性
分光学に関する分子物性で新たに計算可能になった機能を示します。
- スピン−スピン結合定数
- gテンソルおよび他の超微細スペクトルテンソル
- 調和振動−回転カップリング
- 非調和振動と振動−回転カップリング
- 前期共鳴ラマンスペクトル
- 旋光/旋光分散
- 円二色性(Electronic Circular Dichroism)
- 周波数依存の分極率および超分極率
- GIAOを使った磁化率
- 溶媒和モデルでの電子、磁気物性
- ONIOM法を使った電子、磁気物性
基本アルゴリズム
量子化学計算の高速化や効率化を図るために、幾つかの基本アルゴリズムが追加改良されました。
- Harris 汎関数を使った初期値の生成(特に金属を含む場合改善)
- 新しいSCF収束アルゴリズム(EDIIS法とCDIIS法を組み合わせることで収束性が向上)
- DFT計算のための密度フィッティング
- 自動化された高速なFMM法(DFT法:100原子、ハイブリッドDFT法:150原子程度の計算でコストが大きく改善)
- クーロンエンジン:DFT計算に対するクーロン演算子の高速アルゴリズム(4中心2電子積分をあらわに作らずに正確なクーロン行列を作成)
- オーダNの交換項計算(精度を落とさずに計算コストを1次のオーダにする)
- DFT汎関数の追加
- 高精度なエネルギー計算法(W1BD法、G3法等)
- Douglas-Kroll-Hess半相対論ハミルトニアン
- 汎用ガウス型基底関数の追加(de Castro、Jorge等による)